おめでとうございます。
ずっと応援していたのでもっと喜べると思っていたのですが、先手の永瀬王座の深くて広い研究に序盤から持ち時間の半分近くを消費し、ジリジリと終盤へもつれ込みました。
最終盤で持ち時間を使い切りお互い1分以内に指さないといけない状態となり、永瀬王座が詰ませに行った手がうっかりでそこから藤井七冠の逆転勝ちとなったわけですが、指したあとうっかりに気づいた永瀬王座が頭を抱えたり搔きむしったりと悔しさがにじみ出ていて胸が締め付けられる思いになりました。
本局に対して前名人の渡辺九段が「こんなに深くまで網羅しているのか」と驚いていたほどに永瀬王座の事前準備は一部の隙も無く最終盤まで来ていました。
ただ、永瀬王座は「自分には才能がない、努力が才能に勝つところを見せたい」と語るほどなので「詰みを見つける力」が他の棋士より劣るため「1分という短い時間」で正解を見つけ出すことを苦手としているのだと思います。
優勢になると全駒(相手の攻め駒をすべて取る)して戦意を挫く戦い方がたまに見られるのもその表れかと思います。
今シリーズでは3勝1敗で決着しましたが、永瀬王座が3勝でもおかしくなかった内容で、前局と本局は終盤の1分将棋での致命的な敗着が勝負を分けました。
敗着に気づいてそこで気持ちが折れてしまってもおかしくない中、それでも〇手詰め(正確に指せば終わり)になるまで悔やみと気持ちの立て直しに揺れながら指し続けていた永瀬王座を見ていると、終局して八冠達成となっても手放しでは喜べませんでした。
どちらにも勝ってほしかった。
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